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データを「活用」する前に「統制(ガバナンス)」が不可欠な理由

AI時代のデータ活用を支える「データガバナンス」とは

データを「活用」する前に「統制(ガバナンス)」が不可欠な理由

“データを活用できない企業”の共通課題

ITやデジタル技術が広く普及した現在、企業にとってデータ活用は、もはやビジネスの“前提”と言っても過言ではありません。特にAI技術の発展や生成AIの登場以降、データの用途や活用シーンは従来とは比べものにならないほど多様化し、企業活動のさまざまな領域に変化をもたらしています。

しかし、データを積極的に活用し成果を上げている企業がある一方で、データ活用が組織に定着していなかったり、活用しても十分な成果につながっていなかったりする企業も少なくありません。多くの場合、その要因となっているのは、ツールや技術以前の根本的かつ組織的な課題です。

実際、データが活用できていない企業では、次のような課題がよく見られます。

  • データの品質が低い(例:不正確・不整合・重複・形式不統一)
  • 部署や担当者、システムごとにデータが分断されている(属人化・サイロ化)
  • データ管理のルールや責任の所在が曖昧

このような状態では、データを活用しても成果が出ないのは無理もありません。データの品質が低ければ分析や意思決定の精度も当然低くなりますし、ルールや責任が曖昧なままではセキュリティリスクも高まります。もちろん、それぞれの課題を解決するためのソリューションは存在しますが、それらを導入するだけでは根本的な解決には至りません。

では、どうすれば良いのでしょうか?
大切なのは、データを活用する前に、それを適切に扱うための“土台”を整えることです。その鍵となるのが、データを組織的に統制する取り組み、すなわち「データガバナンス」です。

データガバナンス=“守り”だけではない

データガバナンスにはさまざまな定義がありますが、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の資料(※)では、「企業の重要な資産であるデータを戦略的に管理・活用するための仕組みやルール、体制」と説明されています。また同資料では、データマネジメントが「データを正しく扱う仕組み」であるのに対し、データガバナンスは「データを正しく扱うことを確実にする仕組み」と位置付けられています。
※独立行政法人 情報処理推進機構『信頼できるパートナーになるためのデータガバナンス読本』

「ガバナンス」という言葉から、データガバナンスに対してセキュリティ対策やコンプライアンス(法令遵守)といった“守り”のイメージを持つ方が多いかもしれません。確かに、情報漏えいや内部不正を防ぐことは重要な役割の一つです。しかし、データガバナンスの価値はそれだけにとどまりません。

例えば、データ品質を維持するためのルールや管理の仕組みが整備されることで、データ分析の精度が高まり、データに基づく意思決定も迅速かつ的確におこなえるようになります。部門やシステムをまたいだデータ連携もスムーズになるため、顧客体験の改善や新たなビジネス機会の創出につながる可能性が高まります。

このように、データガバナンスとは、リスクを最小化する“守り”の取り組みであると同時に、データのビジネス価値を最大化する“攻め”の土台でもあるのです。

生成AIの正確性・信頼性を支える基盤にも

データガバナンスは、先進的な技術や取り組みを支える基盤としても注目を集めています。

例えば、DX推進企業などでは、生成AIの出力精度を高めるために、RAG(検索拡張生成)と呼ばれる技術を活用し、AIに社内データを参照させる取り組みが進んでいます。しかし、そのような高度な仕組みを導入しても、肝心のデータの品質が低ければ、AIが返す回答の正確性や信頼性は担保できません。

つまり、生成AIの価値を最大限に引き出すには、高品質なデータを整備・管理する取り組みが不可欠であり、その土台となるのがデータガバナンスなのです。

また近年は、自社内にとどまらず、サプライチェーンや外部パートナーとの間でデータを連携・共有する動きも広がっていますが、その際、それぞれの企業がデータを適切に管理・活用する環境を整備していなければ、安心かつ円滑に共有することはできません。こうしたデータ活用の広がりを踏まえると、データガバナンスは企業の信頼性を対外的に示す取り組みとも言えるでしょう。

続く後半記事では、データガバナンスを実現するために必要な体制や人材、導入ステップ、そして実際の企業事例について解説していきます。

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