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経営改革促進

2022年12月12日

DX推進企業のサブスクリプション事例と成功のポイント

DX推進企業も続々参入するサブスクリプションビジネス<後半>

【B to C】サブスクリプションビジネス事例

DX推進企業を中心とした国内のサブスクリプションビジネス事例を、B to CとB to Bに分けて紹介します。

■キリンビール株式会社の〈ビールのサブスク〉事例

大手ビールメーカーのキリンが展開するサブスクリプションビジネスが、会員制生ビール配送サービス『キリン ホームタップ』。月額定額制で月2回自宅に好きなビールが定期配送されるという内容で、つくりたての味と鮮度を楽しんでもらうために専用ビールサーバーを無料提供(レンタル)し、特殊技術を用いたペットボトルで工場から直送しています。
試飲体験会を実施したり、継続的に商品のバラエティを増やしたりと様々な施策に取り組んでおり、会員数は既に10万人を突破しているということです。

参考:ビールの魅力化・市場の活性化を目指す会員制生ビールサービス「キリン ホームタップ」のラインアップを拡充|キリンホールディングス株式会社

■株式会社大丸松坂屋百貨店の〈洋服のサブスク〉事例

大丸松坂屋は2021年4月に百貨店初のサブスクリプション型ファッションレンタルサービス『AnotherADdress』を開始。月額11,800円(税込)で毎月100以上の高級ブランドから洋服を3着借りることができ、2022年5月時点で累計8,500名のユーザーに登録されるまでに成長しています。
2022年6月にはWeb上でスタイリストにコーディネートについて無料相談ができるサービスを、さらに同年10月からは安価なライトプランも設置。ユーザーがストレスなく楽しんで利用できるようサービスの改善を続けています。

参考:百貨店初、ファッションサブスクサービス「AnotherADdress」/ コーディネート相談ツール「”STYLISTA”の導入」と「ウォッシャブル特集」を6月1日(水)から開始|株式会社大丸松坂屋百貨店

■株式会社アドレスの〈住まいのサブスク〉事例

衣食住の“住”を対象としたユニークなサブスクリプションビジネスを展開しているのが、スタートアップ企業の株式会社アドレスです。同社の多拠点移住サービス『AAdress』は、月額44,000円(税込)で全国200箇所以上のシェアハウスを自由に利用できるというもの。
といっても、ただ住まいをレンタルできるだけではありません。各住居には「家守」という管理人が配置され、ユーザーの生活サポートだけでなく、地域コミュニティとの架け橋的な役割も担当。そのため、旅行だけでなく、お試し移住や「新しい働き方」のひとつとして注目を集めているワーケーションを目的としたユーザーにも利用されているということです。

【B to B】サブスクリプションビジネス事例

■株式会社イプラの〈販促支援のサブスク〉事例

愛媛県に本社を構える株式会社イプラは、自動車業界に特化した売り場づくり支援サービス『エアプラ』をサブスクリプションで展開。自動車販売店、整備工場、レンタカー、ガソリンスタンド向けに、PC・タブレット端末から販促ポップやプライスボードが簡単に作成できるオンラインサービスを提供しています。
併せて、ポップ制作時に使用した情報をもとにブログを自動生成できるオプション機能や、オールインワンパッケージなど、アップセル・クロスセルにつながるメニューも充実。月額定額制だけでなく年額定額制など複数の料金体系を用意しており、既に全国で5,000社以上に導入されています。

参考:日本サブスクリプションビジネス大賞2021

■カシオ計算機株式会社の〈店舗DX支援のサブスク〉事例

電子レジスター国内シェアトップのカシオ計算機は、2022年7月より、小規模店舗のDX化支援サービスを月額定額制で提供開始。クラウド上で売上・顧客データの集計・分析ができるタブレットレジや、現金とキャッシュレスを一元管理できる決済ツールの提供など、店舗DXの土台づくりを支援する内容となっています。
さらにパッケージプランとして、データ分析のオンライン講座や客層分析などの来街者調査を含む「商店街DX」支援プランも設置。自社でDXを推進し、リアルな知見を蓄積してきた企業だからこそ実現できる革新的なサービスと言えるでしょう。

参考:小規模店舗のDX化を支援するサブスクリプションサービス|カシオ計算機株式会社

なお、B to Bのサブスクリプションビジネスとして一般的なクラウドサービス(SaaS)の事例については↓の記事で詳しく紹介しています。
クラウドサービス導入で失敗しないためのポイント|DX-labo

DXとの相性の良さ

上記のように、現在、様々な企業がサブスクリプションビジネスに参入していますが、一方で有名企業が半年で撤退するなど、失敗に終わるケースを目にすることも増えてきました。

サブスクリプションビジネスを成長させるための手法はいくつかあります。例えば、サービス導入のハードルを下げるために最初は基本的な機能のみ無料で提供し、その後アップセル(上位プランへのアップグレード提案)やクロスセル(他機能の併売提案)を図る「フリーミアム戦略」もその一つです。

しかし、何と言ってもサブスクリプションビジネスにおいて重要なのは、「ユーザーに継続利用してもらう」ための取り組みや仕組みづくりに他なりません。具体的には、商品・サービスの継続的な進化(アップデート)、アフターフォローの充実、付加価値の提供など。上記事例では、キリンビールの商品ラインナップ拡充や大丸松坂屋のコーディネート無料相談などが、そうした施策に該当するでしょう。

事例以外では、例えば『Netflix』では会員の視聴履歴などのビッグデータとAI(人工知能)を活用し、会員一人ひとりに最適なコンテンツをリコメンドすることで利用促進を図っていることはよく知られています。また自動車のような高価格帯のサブスクリプションでは、定額制と併せてボーナス払いを採用しているサービスもあります。

B to Bの場合、このような取り組みに当たるのが「カスタマーサクセス」です。カスタマーサクセスとは、“受け身”のカスタマーサポートとは異なり、自社の商品・サービスを通して顧客の成功(課題解決や事業成長)を支援する“能動的”なアプローチを指します。クラウドサービス事業者を中心に、専門部署を設けている企業も増えているようです。

 

業務内容は企業によって異なりますが、一般的には導入・戦略構築支援に始まり、日々のテクニカルサポート、状況に応じてミーティング及びセミナーの実施、情報交換・成功事例の共有を兼ねた顧客交流イベントの開催など、多岐にわたります。こうした取り組みを通じて、顧客エンゲージメントを深めつつ、WIN‐WINの関係を構築することがカスタマーサクセスの最大のミッションと言えるでしょう。

以上、サブスクリプションビジネスについて解説してきました。言うまでもなく、顧客志向・顧客中心の取り組みが重要なのはDXでも同じこと。IT・デジタルを上手く活用することで、従来は知ることができなかった顧客の心理や行動に関するデータが取得できるようになっているからです。そういった意味でも、サブスクリプションビジネスとDXの相性が良いのは当然のことかもしれません。

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