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2022年9月12日

クラウドサービス導入で失敗しないためのポイント

DXに不可欠!今さら聞けない「クラウド」の基礎知識<後半>

クラウドサービスの種類

クラウドサービスの登場により、様々なサービスがPCやタブレット、スマートフォンなどの端末から利用できるようになっています。クラウドサービスのモデルは次の3つ。それぞれ提供する情報システムの機能が異なります。

■SaaS(サース、サーズ:Software As A Service)

インターネット上でソフトウェアを提供するサービスです。データの一元管理や業務プロセスの可視化、ペーパーレス化などによって業務効率化を実現するサービスが多く登場しています。

■PaaS(パース:Platform As A Service)

ソフトウェア開発者・実装者向けに、開発環境や実行環境を提供するサービスです。業務アプリケーションやスマートフォン向けアプリなどの開発基盤やツールが用意されています。

■IaaS(アイアース、イアース:Infrastructure As A Service)

ハードウェアやインフラ機能を提供するサービスです。サーバーやストレージ、ネットワーク機器などを自社で用意することなく仮想的に構築することが可能です。

クラウドサービスの種類

参考:第7回デジタルサービス実現の基礎②クラウドって何?|経済産業省(YouTube)

上記3種類のうち、PaaSとIaaSの市場は、Microsoftの「Azure」、Amazonの「AWS」、Googleの「GCP」と、事実上大手プラットフォーマー3社がほぼ占有している状態です。他方、SaaSに関しては国内外問わず様々な企業がベンダーとして参入しており、現在ブームの様相を呈しています。

一般的に認知度が高いのは、営業向けのSFA(セールス・フォース・オートメーション)やマーケティング向けのMA(マーケティング・オートメーション)、顧客管理向けのCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)と呼ばれるタイプのもの。さらにビジネスチャット、ファイル共有、Web会議、グループウェア向けのSaaSなども広く活用されています。まだまだそれだけではありません。他にも意外な業種や業務を対象としたSaaSがいくつも登場しています。

様々な業界・業務に特化したクラウドサービス

特定の業種・業務に特化したSaaSは「バーティカル(垂直型)SaaS」と呼ばれ、例えば次のようなサービスが登場しています。

■給与計算・人事管理に特化したSaaS

単に給与や社会保険、年末調整などの計算に対応しているだけではなく、エンタープライズ企業にとっての課題であるグループ人事や複数賃金制度に対応した給与計算機能を実装したもの、さらに人事管理業務全般(本人情報・各種人事発令・家族情報・経歴・スキル・考課など)に対応したプロダクトも登場しています。

■店舗のPOSレジに特化したSaaS

アプリをダウンロードすることで、スマホやタブレットを店舗のPOSレジとして使えるようになるSaaSです。アプリ内で様々な新機能が提供されていくので、従来のレジのように機器を入れ替えることなく機能をアップデートしていくことができます。

■購買管理に特化したSaaS

企業の購買・調達担当者にとって負担の大きいコスト比較。相見積もり業務や、サプライヤー比較を効率化できるSaaSです。2023年10月にスタートするインボイス制度にも対応可能な機能を実装したプロダクトも登場しています。

他にも不動産管理に特化したSaaSを始め、建設業界、介護業界、保険業界、農業など様々な業界向けのSaaSが登場しています。SaaSを含めた国内クラウドサービスの市場は今後も成長が見込まれており、さらにバリエーションに富んだプロダクトが誕生することでしょう。

以上、クラウドサービスについて簡単に解説してきましたが、このように便利で、かつ気軽に導入できるシステムだからこそ、導入に際して留意しておきたいポイントがいくつかあります。

製品(または事業者)の選定から運用、セキュリティにおけるそれぞれの注意点については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「クラウドサービス安全利用チェックシート」が参考になります。そこに載っていないもので言うと、特に避けたいのが、業務部門主導の場当たり的な導入による“クラウド乱立”状態や、情シスなど第三者が利用状況を把握できていない“野良クラウド”の放置です。いずれも管理負荷とセキュリティリスクの増大、そしてITガバナンスの乱れを招く恐れがあるからです。

前回記事の冒頭で「DXにクラウドは不可欠」と述べましたが、だからといって何が何でもクラウドの活用にこだわる必要はありません。数年前に国内企業のAIシステムの半数はオンプレミスで動いているという調査結果が発表されていましたし、自社業務でもクラウドサービスの利用メリットやコスト面の優位性が認められないケースは多いにあり得ます。

DXの目的は事業と組織を根本から変革すること。それは単にそれぞれの業務を効率化していくだけでは実現不可能です。DX推進企業の中にはクラウドを有効活用するための仕組みづくりを整備するCCoE(Cloud Center of Excellence)というチームを設置している企業も存在しますが、何よりもまず、全社的な視点を持つトップならびに経営層がクラウドを理解し、導入の検討段階から積極的にコミットしていくことが不可欠でしょう。

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