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経営改革促進

2024年12月2日

なぜゲーミフィケーションは「顧客を夢中」にさせられるのか?

再ブーム到来!?DXで注目を集める「ゲーミフィケーション」<前半>

ゲーミフィケーションが盛り上がっている理由

ビジネスを中心にゲーミフィケーションへの注目度が再び高まっています。

ゲーミフィケーション(gamification:ゲーム化)とは、コンピューターゲームの要素や仕組みをビジネスなど他分野に応用し、ユーザーの行動変容を促す手法を指します。2010年代初頭に海外でブームが巻き起こり、日本でも一時期バズワード化するほどでしたが、わずか数年で沈静化。しかし近年、再びブームの兆しを見せつつあるのです。

その理由として挙げられるのが「DXとの親和性の高さ」です。そもそもコンピューターゲームは私たちに最も馴染み深いデジタルサービスの1つですし、開発におけるユーザー視点やデータ活用の重要性など、DXに求められる取り組みと共通する部分が多々あります。

また、ゲーミフィケーションはスマートフォンアプリやオンラインプラットフォームを通じて提供されることが多く、AIやメタバースといった最先端テクノロジーとも相性が良いため、そうした技術の発展もプレゼンス向上を後押ししていると言えるでしょう。

ビジネスにおけるメリット

ビジネスにおけるゲーミフィケーションのメリットは、ユーザーに「楽しさ」という感情的(非機能的)な体験価値を提供できること。商品・サービスに導入すれば競合との差別化につながりますし、「楽しさ」は「飽きがこない」「夢中になってもらう」ための重要な要素でもあるので、リピート促進やモチベーション維持、エンゲージメント向上といった効果も期待できます。

ゲーミフィケーションが活用できるのは社外向けの施策だけではありません。例えば経済産業省は人材教育における効果に着目し、ゲーミフィケーションを利用したDX人材の育成手法についての調査・検討会を実施しています。

2024年3月に公表した報告書では、ゲーミフィケーションについて「個人の日常の課題から社会課題まで様々な課題を解決できる可能性を持つ」と評価した上で、「人材育成(学び)の領域におけるゲーミフィケーションの効果は、学習者の学習に向かう姿勢・態度の変化をもたらし、マインド・スキルや知識の向上が図られる」と、学習モチベーションの向上に有効であることが示されています。

出典:【報告書】令和5年度地域デジタル人材育成・確保推進事業(ゲーミフィケーションを活用した人材育 成等に関する調査事業)

顧客・ユーザーを夢中にさせる5つの要素

冒頭で、ゲーミフィケーションは「コンピューターゲームの要素を応用する手法」と述べました。実際に取り入れるべき要素は施策によって異なりますが、一般的には次の5つの要素を組み合わせて活用するのが効果的とされています。

1.ゴール(目的)

通常、ゲームには「大会で優勝する」「ラスボスを倒す」といったゴールが設定されていますが、ゲーミフィケーションにおいてもユーザーが達成すべきゴールを明確化することが大切です。達成時に十分な充実感・満足感が味わえるよう、あまり簡単なものは避けたほうが良いでしょう。

2.ミッション/クエスト(課題)

ミッション(またはクエスト)は、ゴールに到達するためにクリアすべき課題を指します。ユーザーを飽きさせない工夫として、スキルや習熟度に合わせて次第に難易度が高くなるように設計するのが効果的です。

3.リワード(報酬)

リワードは次の3種類に分けられます。

・マネタリーリワード

割引券やポイント、クーポンなど、金銭的な価値のある報酬

・インナーリワード

バッジや賞状、トロフィーなど、達成感や自己実現を収集欲求で満たす報酬

・ソーシャルリワード

希少性の高い特典や特別な権利など、承認欲求を満たす報酬

リワードを設計する際のポイントは、施策の目的に合わせて種類を使い分けること。例えば顧客エンゲージメントを向上したい場合、マネタリーリワードばかりでは逆効果になる恐れがあります。付与のタイミングを含め、ユーザー目線に立って考えることが何より重要です。

4.ビジュアライズ(可視化)

ゴールまでの進捗状況やスコア、レベル、ランキングなど、ユーザーが自身の現在位置を把握できるようにする取り組みを指します。モチベーション維持や向上心・競争心を刺激するために効果的な要素です。

5.コミュニケーション(交流)

一時期ソーシャルゲームが社会問題化するほどブームになりましたが、その大きな要因はユーザー同士で交流・協力しながら遊べることと言われています。ゲーミフィケーションにおいても、SNSでのシェア機能、チャットや掲示板の活用、対戦型または協力プレイの導入などにより、ユーザー間のコミュニケーションを促進することができます。

次回の後半記事では、実際にIT・デジタルを活用した企業のゲーミフィケーション事例を紹介します。

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