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業務プロセス改善

2021年10月18日

農業分野の状況と農業DXの必要性

農業×デジタル ~農業のDXとは~<前半>

日本の農業の状況

近年、あらゆる業種でデジタル化やDXの推進が重要と言われています。農業分野も同様で、さまざまなAI・IoTなどのデジタル技術の適用が可能と考えられています。
では農業へのDXの適用は実際に可能なのでしょうか?ここでは、まず日本の農業の状況から解説していきます。

■農業従事者数の減少

農林水産省は2021年4月27日、5年に農業に関して行っている調査「2020年農林業センサス」を公表しました。この中で農業従事者の数は2015年から2020年の5年間で46万人減少し152万人となっています。
農業分野としてこの農業従事者数の減少は危機的な状況であり、農業を産業として持続させていくためには、多くの若い人に農業に従事してもらう必要があります。そして、農林水産省は新規就農者を確保し定着してもらうために、2021年5月に「農業人材の確保に向けた検討会」を設置しました。

ただし、2009年の農地法改正で、農業参入が全面自由化された影響で、近年は安価で大量な農産物を自社で確保したい企業や、観光農園・農村レストランなどを経営する企業が増えています。一般法人の農業参入は2000年の761法人から2017年の3,030法人への増加傾向にあります。

■生産性が低い

日本の農業は、過去から欧米などに比べると生産性が低いと言われています。具体的には、農林水産省によると、農家1戸当たりの農地面積は2007年に1.8haで1965年の1.1haから伸びてはいるものの、諸外国と比べた場合、EUの9分の1、米国の99分の1、オーストラリアとの比較にいたっては実に1,862分の1と非常に大きな格差があり、依然生産性の低さの大きな要因となっています。
また、農業従事者の平均年齢は2000年の61.1歳から2017年の66.7歳と高齢化が進んでおり65歳以上の高齢者比率が実に70%となっています。この高齢化はITリテラシーにも影響しアナログな農業管理の要因と考えられ、ITの導入によるデータを使った科学的な農業管理ができていないことが、生産性が低い大きな原因とも言われています。

農業DXの必要性

次に、なぜ今農業にDXが必要なのか?について解説します。

前述のさまざまな課題に対し、農業分野を成長産業として進めるためには、効率化や農業経営の変革などを図る必要があります。そのためには、新しいデジタル技術であるAI・IoT・ドローンなどを活用し、データを中心とした科学的な根拠に基づいた農業経営により効率化を図り、多様化する消費者ニーズに応える農産物を生産・提供していくことが必要です。
同時にこういった農業分野の変革を推進するためには、農業政策を推進する国や自治体の行政事務についてもDXを進めることが必須です。
なお、他の業種分野も同様ですが、DXを進める際には従来の農業経営に単にデジタル技術を導入するだけのデジタル化ではなく、デジタル技術を前提とした新しい農業経営への変革を行う本来のDXを目指すことが重要です。

では、以下に農業DXが必要とされる具体的なニーズを農業現場と農業政策を進める行政事務に分けて紹介します。これらのニーズに対してはまさにデジタル技術を活用したDXによる解決が有効と考えられます。

<農業現場のニーズ>
・昔からのアナログな経験や勘に頼って農産物を作るのではなく、客観的なデータを使ってより高付加価値な農産物を作り収益を確保したい。
・農業従事者数の減少と高齢化により人手不足が慢性化しているため、新しいデジタル技術を導入して農作業を効率化/省力化する必要がある。
・これまで培ってきた農産物を作るための経験や技術を、これから農業に従事する人にデジタルを利用した的確な方法で引き継ぎたい。
・消費者のニーズを正確に把握し、デジタルマーケティングを行い、ニーズに合った農産物をスピーディに届けたい。

<行政事務のニーズ>
・農業従事者の所得向上などを図り農業分野を活性化させたい、そのためにも国の補助金などを効果的に運用する必要があり、デジタル技術を活用した効率的な行政事務を行いたい。

今回、日本の農業の状況として農業従事者数の減少や生産性が低いという大きな課題があることをお伝えし、これらに加えて農業分野でのさまざまなニーズはDXを推進することで解決できる可能性がある、という農業DXの必要性をお伝えしました。
次回は、実際に進む農業DXの取組み事例や、DXにより実現する農業の将来についてお伝えしていきます。

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