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業務プロセス改善

2021年10月25日

農業DXの取組み事例と農業DXの未来

農業×デジタル ~農業のDXとは~<後半>

農業DXの取組み事例

今回は農業に関する先進的なDXの取組み事例を、現場と農業に関する行政事務の側面から解説します。

■DXを活用したスマート農業などの現場取組み事例

・ドローン自動運転による農薬散布
農薬の散布は今までは人手が主であり、広大な農場に対して重い農薬タンクを担ぎ、長時間の散布でかかり重労働でした。ドローンでは上空から農場に対して農薬を高速でまんべんなく散布することができます。あらかじめ入力された地図情報をもとに、異形で高度のある農場に対しても容易に農薬を散布することが可能です。例えば害虫被害がでている箇所に対して、ピンポイントで散布することなども可能で、これら新技術の導入により今後も作業の大幅な効率化が図れるでしょう。

・IoTによる家畜の個体センシング
例えば牛の繁殖時期を首にぶら下げたIoTセンサー機器などで管理することができます。今までは牛個体の繁殖時期を見つけるのは人の経験値や勘などに頼っており、難しいことでした。IoTセンサーは牛の歩き方をセンシングすることができ、繁殖時特有の歩き方を検知し、IoTで送信し管理者に知らせます。このデータを管理することにより繁殖の効率をより上げることができます。

・AI画像解析による農作物の成熟度の自動判断と収穫
最新の自動走行をする収穫ロボットにはAIカメラが付いています。AIカメラではアスパラなどの収穫対象を画像分析し収穫時期に適しているかどうかを自動判断します。そして農場の中の決められたコースを自動で定期的に巡回し収穫します。農産物の収穫は最も人手がかかる作業であり、今後、人手不足を解消する非常に活躍が期待される技術です。

■DXを活用した農業政策の行政業務の見直し例

農林水産省では補助金・交付金の行政手続き約3,000件について業務フローの整理を行っています。各課で一つ以上の業務フローに対して、RPA、BIツールを適用し、自動化などの効率化を行う予定です。例えばある課での補助金手続き業務では、1,500枚の紙と1,300時間の作業が費やされていますが、RPA適用などによる見直しでは、紙の使用は0枚と300時間の作業まで効率化される予定です。なお、農林水産省では2022年度にはすべての手続きがオンラインでできるように進められています。

DXで実現する農業の未来

最後に、DXを適用することで実現が予想される農業の未来について解説します。

農業分野では農業に関する「生産現場」「流通・小売・輸出等」「行政」の各分野でまずDXが進むと考えられています。まずそれぞれのDXによる未来について述べます。

・「生産現場」(法人農家・個人農家など)
ドローンやAI画像認識などのデジタル技術を使った効率化、農地の土の状態や天候データ管理による生産管理が進み、高収量・高付加価値化が期待されます。

・「流通・小売・輸出等」(流通・小売業者・輸出業者・消費者・輸送会社など)
ネット販売などでのデジタルマーケティングによる消費者ニーズの把握と、データ活用によるニーズに合ったスピーディな農産物の提供、電子決済による効率化、データを活用した輸送業者マッチングによる輸送費の効率化などが進みます。

・「行政」(国・地方自治体)
RPAによる補助金申請内部業務の自動化、自治体内の農場などの地理情報などのデータ管理、農業者ポータルによる農業者ID管理などが進み、行政内の農業情報のデータによる見える化が進み、的確な政策が可能になると考えられています。

さらに、これら3つの分野が、DXが進むことにより需要・供給データ、品質・生産データ、農場・気象・輸送・統計・政策データなど、さまざまなデータで連携され農業分野全体の大きなエコシステムが形成されると考えられています。

以上述べてきたように、現在、日本の農業は農業従事者人口の減少などのさまざま課題により危機的な状況にあります。これらを解決するためにDXは大きな力を発揮すると考えられています。日本固有の問題として耕作地が狭い、高齢者の比率が高いなど難しい問題もありますが、逆に農業DXの推進は旧態依然とした日本の農業分野に劇的な変革をもたらすことが予想されます。今後、農業のDXは要注目な分野です。

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