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業務プロセス改善

2022年10月10日

ペーパーレス化に効果的なツールと進め方

DXに不可欠!ペーパーレス化成功のポイント<後半>

ペーパーレス化の代表的なツール・システム

企業のペーパーレス化に活用されている代表的なツールや手法を紹介します。

■バックオフィス系クラウドサービス

現在、ペーパーレス化のツールで最もポピュラーと言えるのがクラウドサービスです。経理や人事、購買など、特定の業種・業務に特化した製品が登場しており、契約書や見積書、稟議・申請書、見積書や契約書、タイムカードといった紙を簡単にデジタル化することができます。

企業間取引業務には、まだまだ紙書類が多く存在していますので、その部分のペーパーレスを推進することにより、大きな効果が得られることは間違い無いでしょう。
例えば購買・調達業務のデジタル化・システム化を推進すると、発注~請求業務に関わる膨大な紙書類のペーパーレス化はもちろん、業務の迅速化、進捗業況の可視化、同じサービスを利用している他社のベストプラクティス(成功事例)の採用など、一連の業務を大きく効率化できるというメリットがあります。

クラウドサービスについてはこちら↓の記事で詳しく紹介しています。
クラウドサービス導入で失敗しないためのポイント

■AI-OCR

アナログ文化が根強い業界の場合、自社でペーパーレス化を進めても、取引先からは変わらず紙文書やFAXが届き続けることが予想されます。そうしたケースに効果的なのが、AI-OCR(光学文字認識機能)というITツールです。

AI-OCRの特徴は、手書き文字を含め、紙文書の文字をデジタル変換してデータ化できること。基本は紙からパソコンへの入力作業を削減するために活用されているツールですが、取引先からのFAXを印刷せずにファイルサーバーへ蓄積し、AI-OCRでデータ化するシステムを構築すればペーパーレス化にもつなげられます。

■システム連携

複数のツール・システムを連携させることで、ペーパーレス化のメリットを最大化させることができます。例えば先述のAI-OCRの場合、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)というパソコンでの定型作業を自動化できるITツールと連携すれば、紙文書に書かれた情報の入力だけでなく、集計や加工といった工程も省力化・脱属人化が可能です。

もちろんクラウドサービスの連携も同様です。大手食品メーカーの株式会社明治は2022年、紙の請求書の受領・スキャンを代行するクラウドサービスと、システムへの入力・承認・保管をデジタル化する会計システムを導入し連携。経理業務における全領域のペーパーレス化を実現し、年間で約54万枚の紙削減と約2,400時間のファイリング作業削減を見込んでいると発表しています。

ペーパーレスの進め方事例

ただし、このようなツール・システムを活用してペーパーレス化を加速させている企業が増えている一方で、進捗の芳しくない企業も少なくありません。特に多い課題が、何から手を付けて良いかわからないまま時間だけが過ぎていってしてしまうこと。そうした事態を防ぐためには、まず一つの部署で成功させ、その経験と効果を周知して拡大していくという段階的な進め方もおすすめです。

例えば、何度試してもペーパーレス化が実現できなかったというある商社が、あらためて取り組むにあたって最初に着手したのは経理・財務部門でした。理由は前回説明したように、法改正によって国税関係の書類・帳簿のペーパーレス化(電子保存)が容易になったからです。

 

そしてファーストステップとして取り組んだのが、業務フローを整理し、どの工程をペーパーレス化するか検討したこと。その際に、「現状の業務フローをできるだけ変えず、なおかつ結果も重視」というように、目標を明確化したことがポイントと言えます。その上でしっかりとしたRFP(提案依頼書)を作成し、複数のベンダーの提案を受けてプロジェクトをスタート。その後の進捗は順調で、現場からも好評を得たため、現在は総務・購買などの他部門へも展開しているそうです。

他方、もともとデジタルと親和性の高い業界では、全社横断的にペーパーレス化を推進している企業もあります。そのうちの一社が、誰もが知る大手通信事業者。年間約1億枚の紙文書を使用していたという同社は、電子押印・署名システムの導入とあわせ、社内で印刷している文書を「即削減するもの」「順次削減するもの」「継続して削減を検討するもの」の3種類に分け、即削減できるものは破棄し、データ化できるものはデータ化するといった取り組みをおこなっているということです。

このように企業によって最適な進め方は異なりますが、いずれにせよ忘れるべきでないのは、ペーパーレス化の目的は紙の削減だけではないこと、DXの第一歩であり、ビジネスと組織の変革につながる取り組みであるということでしょう。事実、経済産業省『DXレポート2 中間とりまとめ』においても、ペーパーレス化はDXの最初のステップである「デジタイゼーション」に該当する取り組みとして紹介されています。これは見方を変えると、「ペーパーレス化が上手くいかないようではDXも成功するはずがない」とも言えるということではないでしょうか。

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