デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

まさか社長がAIに!?—— DX先進企業の組織変革事例

『DX銘柄2026』で知る、企業のDX最前線

毎年、経済産業省・東京証券取引所・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が、東京証券取引所の上場企業を対象に、企業価値向上につながるDXを推進している企業を選定する『DX銘柄』。

今回の記事では、その最新版である『DX銘柄2026』に選定された全49社の取り組みの中から、業種・業界を問わず、多くの企業にとって組織やビジネスを変革するヒントとなる事例を厳選して紹介します。

AI活用定着のための取り組み事例

せっかく高機能のITツールやテクノロジーを導入しても、社員に活用されず、放置状態になってしまう——。多くの企業が抱えるこの課題に対し、株式会社三井住友フィナンシャルグループは、社員が“ツールを使いたくなる仕掛け”を組み込むことで、AI活用の定着を進めています。

同社が社員に提供しているのが、実際のCEOのパーソナリティを反映したアバター型の生成AI『AI-CEO』です。一般的な生成AIをそのまま導入するのではなく、あえてこうしたキャラクター性を持たせたシステムを開発した背景には、社員にAIに対する“親しみ”を持ってもらい、AIと共に働く文化を社内に醸成したいという狙いがありました。

“CEO本人らしさ”を実現するため、AIが学習データ以外の情報も検索して回答を生成できるようにする「RAG(検索拡張生成)」という技術を活用。CEOの経営会議での発言を含む社内外の発言データや、役員クラスへのヒアリングで得た人物像・印象などを参照して回答を返す仕組みになっています。

特筆すべきは、CEOの思考の深さや経営哲学だけでなく、ウィット(機知・ユーモア)まで再現するこだわりぶり。辛口コメントを返すユニークな機能も備え、顧客への提案内容から企画書のブラッシュアップ、キャリア相談まで幅広く活用されています。

参照:株式会社三井住友フィナンシャルグループ|DX銘柄2026選定企業レポート
参照:社長らしさを宿すAI「AI-CEO」。開発の舞台裏と、その先に見据えるAI活用|株式会社三井住友フィナンシャルグループ

従業員体験(EX)向上への生成AI・AIエージェント活用事例

多くの業界で人手不足が深刻化する中、人材定着や生産性向上に直結する“従業員体験(EX)”の向上は重要な経営課題となりつつあります。従業員体験とは、社員が企業で働くことを通じて得られる感情や体験価値を指す概念です。

讃岐うどん専門店『丸亀製麺』などを展開する株式会社トリドールホールディングスでは、従業員の幸福(ハピネス)と顧客の感動(カンドウ)が好循環する経営モデルを『ハピカン繁盛サイクル』と名付け、データに基づいてこのモデルを強化する取り組みを進めています。

従業員の幸福感向上に向けた施策の一つが、音声対話型AIと生成AIを活用して従業員の感情を分析・可視化するシステムの導入です。具体的には、社員がスマートフォンでオリジナルキャラクターによるインタビュー形式の質問に回答し、その内容を生成AIが分析。「安心感」「つながり感」「貢献実感」「誇り」という4つの指標を数値化したうえで、総合的な幸福度を示す『ハピネススコア』を算出します。

算出された『ハピネススコア』は、食後アンケートをもとに顧客の満足度を数値化した『感動スコア』、店舗売上などを示す『繁盛スコア』と併せて、ダッシュボード上で集約。ダッシュボードには、AIエージェントが各スコアの向上を後押しする具体的なアクションや改善策を提案する機能も備えており、データの可視化にとどまらず、現場の迅速な意思決定や行動変容にもつなげています。

参照:株式会社トリドールホールディングス|DX銘柄2026選定企業レポート
参照:トリドールHD、丸亀製麺の「ハピネススコア」を構成する国内初のAI音声インタビューと外食業界初となる「心」と事業成果の関係性を解明する独自の分析メソッドを公開|株式会社トリドールホールディングス
参照:トリドールHDが運営する丸亀製麺、店舗ごとの改善アクションを AI エージェントが提案する「AIレコメンド機能」と 店舗向け「ハピカンダッシュボード」を共同開発|株式会社トリドールホールディングス

DX推進に不可欠な「変革人材」育成事例

DXを成功させるためには、IT・デジタルの専門人材だけでなく、DXの“X”、すなわち事業や組織の変革(トランスフォーメーション)を主導できる人材が不可欠です。

株式会社セブン銀行では、AI時代には与えられた課題を解決するだけでなく、自ら潜在的・将来的な課題を発見し、変革を起こせる人材が必要だとし、そうした人材を「X人財」と定義。2022年からスタートした社員のマインド改革と行動変容を促す教育プロジェクト『SEVENBANK Academia』などで、その育成に取り組んでいます。

同プロジェクトがユニークなのは、新たな価値創出に欠かせない好奇心やクリエイティビティ、コミュニケーションスキルといった非認知能力を高めるために、絵画の制作・鑑賞など、一見ビジネスとは結び付きにくい“アート”を取り入れたプログラムを導入している点です。

さらに、挑戦・変革への行動を定量的に評価する仕組みや、業務時間の10%を担当業務以外のイノベーション活動や自己成長につながる取り組みに充て、その成果を個人評価の対象とする『EX10(エクステン)』という制度も導入。教育と人材評価の両面で、社員の変革マインドの醸成と行動変容を後押ししています。

参照:株式会社セブン銀行|DX銘柄2026選定企業レポート
参照:AI時代に必要なのはDX人材より「X人財」。カルチャー変革にアートを取り入れた狙いを語る|株式会社セブン銀行

前半記事では、社内向けの先進的な取り組みを取り上げました。次回の後半記事では、商品開発の高度化や新たなビジネスモデルの創出など、ビジネス変革につながる「攻め」のDX事例を紹介します。

share
  • AI-OCRエンジンを採用、RPA連携による完全自動化のOCRサービス「CREO-OCR」
  • BizRobo!を月額6万円から利用可能、従量課金RPAサービス「CREO-RPA」
  • サービスデスク
  • プロセス管理
  • クラウドシフト
  • 人事給与
  • ハイブリッド購買
  • 情シス
  • 社労士
  • 会計士
  • Method
  • DXセミナー

記載された商品名・製品名は各社の登録商品または商標です。