変わるなら今! IT部門に求められる新たな役割とは?
IT部門進化論~「コストセンター」から「経営のパートナー」へ~
「縁の下の力持ち」から「表舞台」へ——これまで裏方として企業のIT・デジタル活用を支えてきたIT(情報システム)部門に、今「進化」が求められています。今回は、IT部門を取り巻く現状を整理し、なぜ進化が求められているのか、その理由と必要な取り組みについて迫ります。
問われるIT部門の存在価値
これまで多くの企業のIT部門は、社内システムの保守・運用、ヘルプデスク、障害対応、アカウント管理など、「既存のIT環境を安定的に維持すること」を主な役割としてきました。もちろん、これらは企業活動を支えるために欠かせない業務であり、今後もその重要性が揺らぐことはないでしょう。
しかし一方で、ビジネス環境の変化が激しく、企業のあらゆる領域で変革が求められる中、ただでさえ「コストセンター」と見なされがちなIT部門が従来の役割にとどまっていては、これまで以上にその存在価値が問われることになるのは間違いありません。
しかも近年では、業務部門が自らクラウドサービスを選定・導入したり、非IT社員がノーコードツールや生成AIを使ってアプリケーションを開発したりするなど、これまでIT部門が担ってきた役割の一部を、現場主導で進めていく動きも広がりを見せています。
今こそ進化のチャンス!
一見するとこうした状況は、IT部門にとって逆風のように映るかもしれません。しかし、それはあまりに一面的な見方です。
実際は、その逆です。むしろ今こそ、IT部門が自らの真価を証明する絶好の機会と言っても過言ではありません。なぜなら、社内でIT・デジタルの活用が拡大すればするほど、それらを効果的かつ安全に運用・管理するための専門的な知見やスキルが不可欠になるからです。
例えば、先ほど触れたような現場主導でのクラウドサービス導入を成功させるには、部門ごとにデータが分断する「データのサイロ化」や情報漏えい、想定外のコスト増加といったリスクを、先回りして適切に管理する必要があります。また、企業活動全般におけるデジタルデータの重要性の高まりも、IT部門の専門性が求められている大きな理由の1つです。
つまり、現在のIT部門に求められているのは、主体的に事業や業務の課題を発見し、IT・デジタルを活用した解決策を提案・実行する役割ということです。こうしたアプローチを通じて、IT部門は「コストセンター」から、事業成長や企業価値向上に貢献する「経営のパートナー」へと進化していくことができるのです。
DXでも進化はミッション
当然ながら、DXを推進するうえでIT部門の進化は欠かせません。
例えば、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の『DX動向2025』で、日本企業のDXの課題の一つとして挙げられているのが、個別の業務プロセス改善にとどまってしまいがちな「部分最適志向」です。
しかし、本来DXとは、全社レベルでビジネスや組織を変革していく取り組みです。そのためには、IT・デジタルの専門家であるIT部門が、経営層や現場と密接に連携しながら、全社的な視点でIT・デジタル活用をリードしていくことが重要になります。
IT部門が担うべき取り組みは多岐にわたりますが、ざっと挙げるだけでも、以下のようなものがあります。
・全体最適視点でのIT・デジタル導入
部門ごとの最適化やツールの乱立、シャドーITを防ぎ、全体戦略に基づいたIT・デジタルの選定・導入・運用・管理をおこないます。・データ統合基盤の構築
データに基づく迅速な意思決定を実現するため、正確性や最新性が保たれた高品質なデータを部門を越えて共有・活用できる基盤を整えます。・クラウドコストの最適化
ブラックボックス化しがちなクラウドサービスの利用状況を可視化し、「月額契約しているが、誰も使っていなかった」などの無駄なコストの発生を防ぎます。・AI・生成AIの積極活用に向けた環境提供
AI・生成AIはDXを加速させる起爆剤となり得る技術ですが、セキュリティ面・倫理面でリスクもあります。積極的・効果的に活用するためには、安全な利用環境や仕組みを提供することが必要です。・セキュリティ対策の高度化とITガバナンスの整備
年々巧妙化するサイバー攻撃に備えるため、ゼロトラストのような高度なセキュリティ対策の導入や、社内のIT・デジタル利用に関するガバナンスの確立が求められます。このように、IT部門が従来のスタンスを脱却し、「経営のパートナー」としての役割を担っていくには、技術力だけでなく知識やマインドセットの変革も不可欠です。その具体的な取り組みについては、後半記事で詳しく紹介します。















