IT部門が「経営のパートナー」へ進化するための3つのアプローチ
IT部門進化論~「コストセンター」から「経営のパートナー」へ~
現在、IT部門にはITインフラの構築・保守運用といった既存業務に加え、事業成長や企業価値向上に貢献する「経営のパートナー」としての役割が求められています。後半記事では、そのIT部門の進化を加速させるための土台となる3つの取り組みを紹介します。
ビジネス・業務の知識を身に付ける
IT部門が経営陣や事業部門と同じ目線で課題に向き合うには、自社のビジネス・業務内容への理解や業界動向に関する知識が欠かせません。こうした知識を身に付けることで、単なる効率化にとどまらず、経営課題や戦略と結び付いた精度の高いIT・デジタル施策を打ち出せるようになります。
具体的には、以下のような知識が挙げられます。
・ビジネスモデル
ビジネスモデルとは、事業で収益を生み出す仕組みのことです。特に近年は、サブスクリプションやプラットフォームビジネスなど、その種類も多様化しています。自社の価値創出から収益化までの流れを理解しておくことで、課題の発見もスムーズになります。
・業界動向や市場トレンド
トレンドのほか、市場環境や顧客ニーズ、競合状況といった自社の事業を取り巻く外部環境がどのように変化しているのかを把握しておくことも重要です。自社の立ち位置や課題をより広い視野で捉えられるようになります。
・社内業務の全体像
現場のボトルネックを的確に特定し、最適なツールや技術を導入するには、各部門の業務内容や業務プロセスの全体像を把握しておくことが欠かせません。また、全体像の把握は各部門とのコミュニケーションの円滑化にもつながります。
オーナーシップを醸成する
オーナーシップとは、仕事や組織の課題を「自分ごと化」して捉える姿勢を指します。ビジネスパーソンの必須スキルと言われていますが、IT部門が「経営のパートナー」へと進化するうえで欠かせない要素です。
例えばデータ分析一つとっても、どれだけ詳細なデータを集めたところで、ユーザー(従業員や顧客)が置かれている状況を「自分ごと」として捉えられなければ、数値の背景にある潜在的なニーズや本質的な課題を見出すことはできません。
また、オーナーシップが欠けていると、ユーザー部門=発注者、IT部門=受注者という従来の関係性から抜け出しにくくなります。特に縦割り組織の場合、こうした受け身のスタンスが部分最適なツール導入やデータのサイロ化を引き起こす要因にもなっています。
当然ながら、オーナーシップは指示されて身に付くものではありません。そのため、主体性を持った自発的な取り組みを歓迎する雰囲気やカルチャーを醸成しつつ、小さな範囲からメンバー一人ひとりに意思決定の機会を与えるなど、実践的な経験を重ねていくことが効果的です。
IT部門の業務を変革する
IT部門が「経営のパートナー」として求められる取り組みは、多岐にわたります。先端技術の導入可能性や効果を検証するPoC(概念実証)の推進や、ITポートフォリオの再構築(IT資産やIT投資の見直し・最適化)といった、先を見据えた戦略的な取り組みもその一例です。
ただし、こうした業務へ注力するには、IT部門自身の業務を効率化して時間を創出する必要があります。そのための有効なアプローチの一つが、問い合わせ管理やインシデント対応など、ITサービスの運用・改善に関わる定型業務を効率化・自動化できるITSM(ITサービスマネジメント)ツールの活用です。
例えば、株式会社西武ホールディングスの情報システム部では、基幹システムの運用に関する問い合わせや作業申請、データ修正、障害管理といった案件管理業務が月200件近くにのぼり、本来注力すべきクリエイティブな業務に時間を割けないという課題を抱えていました。
そこでITSMツールを導入し、上記業務を従来の紙ベースからシステムによる運用・管理へ移行。ITサービス運用のノウハウを体系化したフレームワーク「ITIL ® 」を参照した業務プロセスの標準化や、グループ企業間での進捗の可視化などをおこない、業務の効率化に加え、運用負荷の高い内部統制の業務改善も実現しています。
なお、最近では生成AIを搭載したITSMツールも登場しており、FAQ(よくある質問と回答)の自動生成や問い合わせへの初期回答作成など、さらなる工数削減を実現する手段として活用の幅が広がっています。
もちろん、IT部門の業務変革に役立つツールはITSMツールに限りません。しかし、いずれにせよ重要なのは、効率化そのものを目的とするのではなく、そこで生まれた時間やリソースを前述のような戦略的な施策に振り向けることであり、それこそがIT部門の進化に向けた第一歩となります。
前半記事でも述べたように、ビジネスにおいてIT・デジタルの重要性が急速に高まっている現在、IT部門の進化は、多くの企業にとって喫緊のテーマと言っても過言ではありません。そして、その進化を加速するためのベースとなるのが、ビジネスや業務に関する知識、オーナーシップ、IT部門自身の業務変革です。
また、本文では触れられませんでしたが、事業成長や企業価値向上に直結するIT・デジタル施策を検討・推進するには、技術トレンドや他社の先行事例など、IT・デジタルに関する最新動向に常にアンテナを張っておくことも欠かせません。
なお、そうした情報を集める際は、この『DX-labo』はもちろんのこと、IT部門が「経営のパートナー」へと進化するために必要なノウハウについては『SmartStage』というメディアでも詳しく紹介していますので、ぜひそちらも併せて参考にしてみてください。
※ITIL®はAXELOS Limitedの登録商標です。















